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地球(テラ)の海の底Blog

地球の底でブルー愛を叫ぶブログ

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「碧の輝き」(2)【キスブルパラレル】

色々と「辻褄合わせ」に時間がかかってしまいました。
相変わらず、夏バテがひどく、昼間ねてばかり・・・食欲がなくて食べてもすぐ一杯になる・・・
だめじゃない、原稿~~
やっぱり締め切り間際にヒーヒー言いそうです。

とにかく頭に浮かぶ映像をつないでみたと言う感じですが、どうぞ。
(いつもそんなんだよね;;;ま、所詮、やおい、ですから。)

「碧の輝き」(2)

 

ブルーは沈黙していた。
やがて、ぽつりとつぶやいた。

「僕にはよくわからない。」

「なんだと・・・・
この後に及んでまだ記憶がないと言い張るのか。」

キースはさらにブルーを睨んだ。
ブルーは無表情で淡々と答えた。

「僕は・・・・王子だったかもしれない。
でももうアルタミラという国はないし、僕には何もない。
家族も城も・・・・このテラ王国を倒す軍隊も持っていない。
今の僕には国を再建するなんて力はない。」

「だがこの王宮に入り込んだ。間者と連絡をとることはできるぞ。」

「連れてきたのは君だ。」

「はっ・・・・たしかにな」

キースは椅子に坐りなおした。

「偽物だと思っていたのが本物だったとはな。
競りで見かけたとき、よく似たものをそういう触れ込みで売って高く買わせることがよくあるときいた。
多分その類だろうと思って手に入れてみた。
競り主にも確認したが、素性を知らないままおまえを買ったという。
おまえを売った村人を探したが見つからなかった。
俺はおまえがどう『仕込まれて』いるか確認しようとした。
そしたら、まるで『素人』だ。売春宿の新米の女の方がよっぽど『上手い』もんだぞ。」

ブルーは眉をひそめた。

「まあ、いい。閨の話はしない約束だったな」

「シン、という男に会って来た。」

ブルーの方を見て、反応を確認するように言う。

「会ったというより襲われた、というところか。
不意打ちの上手い奴だった。こっちも油断があって不覚をとった。」

「若いくせに変に大将の風格のあるやつだった。
アルタミラの王族の血を引く最後の生き残りだと言っていた。
おまえのことを聞いてみた。
もし、アルタミラの王子が生きていたらどうする、とな。」

「そうしたら『もうブルー王子は亡くなった。今更偽物を出しても動じない』と来た。」

キースは凄みのある笑みを浮かべ、面白そうに言った。

「俺はお前の国を滅ぼした国の王子なのに、なぜすぐ殺さない、尋ねると取引に使うという。」

「俺の命と引き換えにイライザ女王に要求すると言っていた。
税金をへらし、兵役や労働奉仕を減らせろと言う話だ。
多分応じないと言うと、応じさせて見せるという。
兵役の検査での失格者の命は処分と決まっているが、それにも異議があるという。
俺は役に立たない人間はいらんし、役立たずを食わせる余裕もない、と答えると
『慈悲』の心をもたない指導者は淘汰される、と俺に説教する始末だ」

キースは肘をつき、顎を組んだ手に乗せた。

「その考えを吹き込んだのはおまえだろう?ブルー王子様?」

ブルーは依然無表情で立っていた。

「俺は隙をみて人質をとって抜け出してきた。
マツカが来てくれたので助かった・・・・」

キースは忌々しげに遠い目をした。
ブルーは黙って話を聞いていた。

「実はな、アルタミラとの婚姻関係を結ぶ話があった。
色々と間者を差し向けて調べてみた。
年頃の子どもはいるがアルタミラの王子はアルビノで、王女は盲(めしい)だという。
それでは縁組がなりたたん。
少なくとも重臣の納得が得られん。
代々アルタミラの王家は近親者同士での婚姻が多く、それで多くの不具者がでる。
聖なる結婚、といっているが結局は身内同士でしか仲良くなれん臆病ものなのだ。
民も臆病で身体の不自由なものが多いという。
軟弱ものの集まりだ。
徴兵の検査にあぶれたものが逃げ込むのはいつもアルタミラだ。
国境では良く小競り合いがあったな。」

ブルーはキースを挑むように睨み返した。

「そんな国と親戚になってもこのテラの王家が弱くなるだけだ。
ならば一気に攻め落とし、王家など廃止してしまえばいいと考えた。
アルタミラには豊かな金の鉱脈がある。
その利権で稼いできたアルタミラだ。
金の換算もみなアルタミラのいいなりだったが、それも疎ましかった。
手中に収めればこちらの思う通りに設定できる。」

「だが、誤算があった。弱虫ばかりの国だからすぐ落とせると思ったらなかなか落ちん。
国境の街ラスコーもシーベも守りがなかなか手ごわかった。
作戦をたてても必ず先回りされる。
誰か軍師を雇ってるのかと思えば、王子が戦略を立てているという。」

キースは椅子から立ち上がり、ブルーの方に歩いてきた。

「俺は作戦を変えた。
周りの街など攻めるよりも王宮を一気に攻めた方が落とせると、な。」

ブルーの顎に手を掛ける。

「警備が甘くなる祭りの日を選んで一気に燃やした。」

ブルーの瞳を覗き込んでつぶやいた。

「ぜんぶ、だ。」

ブルーの瞳に炎が燃えた。

「人でなし。」



 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

元ネタが色々とばれてると思いますが・・・・・・
昔々、「クレムリンの丘に眠れ」(大和和紀)という漫画を読みました。
ロシア革命のときに殺害された皇帝一家の娘が生き残っているというお話がベースになっています。
大元はそういう映画があったようなのですが、そっちの方は見ていません。
調べてみたら「追想」で、イングリッド・バーグマン主演でしたよ!(絶世の美女!)
ディズニーの「アナスタシア」のモデルにもなった有名な「都市伝説」(?)で、
実際に皇帝一家はみんな亡くなっていた、というDNAでの証明が近年なされました。
でも「本当は生き残っているのだ」と民衆に信じられてしまうところは
そういう「願望」の現れではないかと思います。
急激な政変があったときによくおきる現象だそうで
日本でも豊臣一族の生き残りとか色々伝説があったようです。

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職業:
一応カタギ
趣味:
妄想・ブルーお絵描き
自己紹介:
元々原作ファンで竹宮ファン。2007年4月のTVアニメ「地球へ」放映をきっかけに結城版ソルジャー・ブルーの美しさと強さにノックアウトされ、原作でも映画でもやらなかった二次創作にハマり、本を出す泥沼に落ちる。JUNE投稿歴のある腐女子。
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