地球の底でブルー愛を叫ぶブログ
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「碧の輝き」(1)
数日後、ブルーのもとにキースから届けものが来た。
見舞の果物と、男性用の宮中服一式だった。
キース王太子が良く着る衣装と似た作りで黒い生地に銀の縫いとりがしてあった。
履物も用意してあった。
「これを着て、宮中に出仕せよとの仰せです。」
宦官は衣装を置いて部屋を後にした。
「どうしたことでしょう。これは。」
世話係の老女はおろおろした。
「いよいよ・・・首をはねられるのかな。」
「そんな、ブルー様!」
「大丈夫。まさか女の格好をして出ていくわけにもいかないからこうしてよこしたのだろう。
ここに来れない理由があるのかもしれない。出かける」
ブルーは黒い宮中服を身につけ、部屋を出た。
白い姿に黒い衣装は嫌でもブルーの魅力を引き立て、後宮の女性が
一斉にブルーの姿を目で追った。
後宮の出口にセルジュが立っていた。
宮中服を着るブルーを睨みつけるように一瞥した。
「特別にキース王太子様が執務を取るお部屋でお会いになるのだ。
乱れた姿を見せるでないぞ。汚らわしいからな。」
「…わかりました」
ブルーは丁寧に頭を下げ、答えた。
セルジュはブルーが憎らしくてたまらないのだろう。
また今回辺境に供ができず、留守居役を仰せつけられたためにマツカに手柄を横取りされた不満もあった。
セルジュはいらいらと大股にブルーの前を歩いた。
大きなドアのある部屋の前に案内された。
「ブルーを連れてきました」
「はいれ」
答えがあり、ドアが開けられた。
広い部屋の奥に立派な机があり、地図や図面が広がっていた。
その向こうに窓を背にしたキース王太子が立っていた。
「ごくろう。セルジュは下がってよい。この者と二人で話がしたい。」
「そんな・・・・こいつは・・・!」
「心配するな。いくらなんでも昼間から男を抱こうとは思わん。
大事な話だ。はずせ。」
「はっ・・・・」
セルジュは露骨に不満の表情を見せ、部屋をでた。
「ご挨拶が遅れまして失礼しました。お帰りなさいませ。王太子殿下。」
ブルーは胸に手を当てて頭を下げ、「ありきたり」のあいさつをした。
「普通に話してよい・・・小賢しい芝居を打ちおって・・・・。
リリーといつ『ねんごろ』になった。」
「誓ってそのようなことは・・・・当日は疲れていただけです。」
キースは深く椅子に座り、ため息をついた。
「お前を・・・・『宦官』にしろという側近の声があった。
どうせ抱くだけならそれでもいいだろうということだった。
俺はもう少し様子を見ると答えた。
後宮の女を寝とられますぞ、という忠告もあった。」
ブルーは静かに微笑んだ。
「俺はお前を『女』として扱っている。だから後宮では『男』になれんと思った。
それに忙しくてそんな細かいことにかまっておれなかったからな」
キースは飲み物を手にし、上を向いた。
「あの女は・・・・かわいいところもあるがしつこくて疲れる」
「リリーを責めないでくれ。あの子は淋しかったんだ。
この頃君が来ないと嘆いていた。」
「そうか。そういう意味でお前は『危険』だな。
女たちの心を抱かずにつかむすべも心得ている。」
キースは飲み物を置き、ブルーを眺め、腕を組んだ。
「これは・・・・・持って生まれたものなんだろうな」
キースはため息をついた。
「今日は閨の話をするために呼んだのではない。政治の話だ。」
キースは地図を指でたどりながら話す。
「辺境の方に実際に行ってみて予想以上に事態が深刻だった。
ただの追いはぎでなく、反乱分子が軍隊的に組織されていた。
危うく命を落とすところだった・・・・・」
キースは苦い顔をした。
「調べてみた」
キースは文書をバラまいた。
「ジョミーとは・・・・今ナスカの方で暴れている反乱分子の親玉になっている
砂漠の獅子シンの幼名だそうだ。」
ブルーの表情が動いた。
「こいつはアルタミラの王の兄の息子で、母親の身分が低かったので
臣下に下ったものだ。王位継承権は皇帝一家がいなくなったときのみだ」
「この幼名を知っているものはわずかだ」
「これでもシラをきるのか。
アルタミラ国の王子、ブルー様よ」
キースはブルーを正面から見据えた。
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