地球の底でブルー愛を叫ぶブログ
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「赤い宝玉」(5)
王太子が後宮に姿を見せなくなってほぼ一カ月が過ぎた。
噂では、辺境に不穏な動きがあり、反乱分子をおさえる指揮をとっているからだという。
だが、このテラ帝国の王城パルテノンにはそのような重い空気は流れてこない。
城では、今日も庭園には花が咲き乱れ、噴水には豊かな水があふれている。
砂漠の真っ只中でこのような贅沢な水をたたえるテラ王国の財力に感心しながらブルーはため息をついた。
今日のブルーは白い男性用の着る長衣を着ていた。
水色のサッシュをゆるく結ぶとかえって男性に見えず、男装した少女に見える。
ブルーの世話係の女性はかなりの年配の婦人で、いつも女性用の可憐なドレスを準備してくれるのだが、
裾が絡まって歩きにくいとこぼすと「弟のものですが」といくつか用意してくれたのだ。
「後宮」の「女」に許されている場所はこの庭園と中庭の一部ぐらいだった。
もっとも外の世界を許されたとしても、ブルーの光に弱い目ではものの数分も立っていられないだろう。
「結局・・・僕はどこにも行けないんだ・・・・」
ブルーはとぼとぼと噴水の周りを歩いていた。
―キースは僕を追い出すだろうか
―それとも殺すだろうか
ブルーは先日の「事件」以来、一生懸命過去の記憶を手繰ってみた。
だが、一向に霧がかかったようにはっきりとしない。
このような城にいたことがあるかもしれないが、ここにいる時間が長くなったせいか
こちらで経験したことなのか、過去に経験したことなのかが曖昧になっていた。
「ジョミー」と呼んだ人の記憶も戻ってこない。
もしかすると、何か記憶の「封印」をされているのだろうか。
―悩んでも仕方ない
―追い出されたらまた考えよう
―どうせ一度はあきらめた命だし
―あの競り台に立った時から僕の運命は自由にならないと感じたのだから
悩みながら歩くブルーを後宮の女たちが垣間見る。
ブルーの容姿にため息をつき、ひそひそと噂した。
ブルーはその女たちをちらりと見、ゆったりとした笑みを返した。
女たちはベールで顔を隠した。
自分の部屋に戻ろうと、向きを変えたとき、横から袖をひかれた。
青いベールをかぶった長身の女性だった。
「ちょっと来て。」
強引に手をひかれた。
突然のことに身体がよろめき、女の部屋になだれ込む形になった。
女はブルーを壁に追い詰め、ベールを脱いだ。
黒い髪に緑の瞳、そして浅黒い肌が印象的な美人だった。
たしかこの娘はリリーといい、酒の席には必ずキースのそばにいた。
ブルーが戸惑う間もなく、リリーはブルーの腕を取り、胸の谷間に導いた。
「女の身体はご存じ?王太子のお気に入りの小姓どの」
リリーの緑の目が妖しく光った。
胸は豊かでむっちりとした盛り上がりが感じられる。
ブルーは戸惑った。
「貴方も淋しいのでしょう?淋しい者同士、仲良くしない?」
リリーはさらに身体を押し付けてきた。
濃い香水の香りがむっと鼻をついた。
「何のつもりだ」
ブルーは問いただした。
「しらばっくれないで。みんな怒ってるのよ、あなたに」
女は挑戦的な瞳でブルーを見た。手を下腹に導く。
「あんたのせいで、キース王太子は後宮に来なくなったのよ。
なのによくもへらへらと笑えるわね。」
ブルーはリリーの手を遮り、ゆっくりと言った。
「王太子様は忙しいのだ。国を守るために。」
「何を気取ってるの」
リリーはブルーを押し倒し、のしかかった。自らドレスのすそをめくりあげる。
「あんたがただの男だってことを証明してやる」
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ブルーは男女ともにおおモテのようです(笑)
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