地球の底でブルー愛を叫ぶブログ
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漆黒の馬(1)
目が覚めたとき、ブルーはベッドから半分ずり落ちていた。
「夢・・・・」
キース王太子はとっくに部屋にいなかった。
高窓の隙間から日差しが差し込み、ブルーの顔を照らす。
いつ意識を失ったかは分からない。
床に手を付き、ゆるゆるとおきあがる。
身体を動かすとあちこちに痛みが残り、それと共に昨夜の荒々しい情交が甦る。
這うようにして、ベッドサイドにおかれた飲み物にたどり着き、一気に飲み干す。
冷たい飲み物が身体のほてりを冷やすに伴って昨夜の記憶と同時に新たな記憶がブルーに甦り、胸が痛む。
自分はジョミー、今は「シン」と名乗る反乱軍の指揮者と恋中だった。
彼はアルタミラの王族の血を引き、市井に暮らしていたが、
ブルーが病弱なのを憂い、「もしも」の時のために後継者候補として選ばれた一人なのだ。
「あれは・・・復活の儀式・・・」
ブルーは夢にみた儀式を思い起こした。
自分は幼いころから病弱で何度も生死の境をさまよった。
そのため次の誕生日まで生き延びるかどうか毎年危惧された。
側近たちは彼が病の床に着くたび、葬儀の用意をした。
そして無事に難を逃れると葬儀の席を祝いの席にぬりかえる。
誕生日には毎年その儀式が繰り返されるのだった。
そしてその儀式の「媒酌人」にはその年の新成人のなかから最も優秀な若者が選ばれるのだった。
「ジョミー・・・」
ブルーは流れる涙をぬぐった。
彼が初めて城に来た時のことを思い出す。
儀式の末席に金髪の大きな碧の瞳の少年が涙をうるませて自分を見ていた。
「蘇り」の水を掛ける前の場所に泣きそうになって立っていた少年。
その少年が力強い「媒酌人」となり、自分を生き返らせる。
だが今、その力強いジョミーをもう一人の黒服の男キースが追い詰めている。
そのジョミーを救う力のない自分が歯がゆかった。
「ジョミー・・・
僕は君を裏切っている・・・・僕は王太子の「愛人」だ。
いや、愛人よりもっと下の性の「はけ口」だ。
何も思いださない方が良かった・・・・」
唇を噛みながら身支度を整えていると、部屋のカーテンが開いた。
「失礼します」
見覚えのない若い青年たちが入って来た。
黒い服に身を包んでいた。
「ブルー様。お部屋を移動していただきます」
「またか。後宮にもどるのか」
「いえ、もっと貴方にふさわしいお部屋に」
いきなりブルーは両方から肘を取られた。手に縄が掛けられる。
「痛い・・・何をする・・・!」
「貴方は人質です。牢に入っていただきます。」
一番背の高い青年が冷たく言い放った。
「な・・・今更どこにも逃げはしない。手を離せ!」
「女王の命令です。従わない場合は命をうばってもかまわないといわれています」
ブルーは息をのんだ。
「王太子に悪い虫がついては困る。
王子を騙る男娼など傍には置けぬ、との仰せだ」
「歩け、男娼!」
兵士たちはブルーを引きずるように連れていった。
さげすんだ声を聞きながら、ブルーは今度こそ死に向かって歩いていくのだと感じた。
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やっぱりブルーは死んでまた蘇る不思議なキャラのような気がします。
兵士たちの顔はテキトーに想像して下さい。
あ、イライザ女王の側近とかいいかも。
きっとイケメンぞろいなんだわ(妄想)
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